お世話になります。福徳社の小泉です。今日は、製造業とリテールのマーケティングにおける共通点、というお話です。

私は2000年にIT業界からスターバックスに転職しました。入社した週、経営企画室スタッフとして役員会議の末席に座ると、その場で議論されていたことについて、私がどう思うかを社長に聞かれました。どのようなやりとりだったかは内緒ですが、突然振られたので、私は思ったことをそのまま言ってしまいました。すると、社長に怒られました。

「これだからメーカーから来た人はだめなんだ!リテーラーの商売は全然違うんだ!」

そうか、全然違うのか、一から勉強しよう、でもどこが違うんだろう?ということを、以来考え続けるようになりました。消費財メーカーに転職し、その後製造業もリテールも、国内外も含めた様々な業種のマーケティングのお仕事をしながら、共通点と違いをテーマに観察を続けています。気づきをくださった社長には感謝しています。なお、内容は内緒ですが、社長のおっしゃろうとしたことも正しいと思います。

そのうえで、現時点の私の結論は、マーケターの頭の動かし方という意味では、メーカーもリテーラーも「基本は同じ」です。なので、特定の業界でマーケティングの基本を理解すれば、どの業種に転職しても、短時間で即戦力になることは可能だと思います。

分かりやすい例として、「広告の作り方」と「ファサードの作り方」について考えてみます。ファサードとはフランス語で建物の外観や正面という意味で、店頭でまず目に入る部分全体のことです。

どちらも、まずは、どのような商品やサービスなのか?を一瞬で伝える必要があります。「一瞬」には業種業態により幅がありますが、2秒~最大でも10秒前後だと思います。その上で、消費者の考えを変え、「買ってみたい」「入店してみたい」と思わせねばなりません。

さらに、見た人の記憶に残すことが重要です。お客さまの購入頻度は、ほぼ毎日~生涯1度の幅で、業種業態によって大差がありますが、消費者が広告や店舗を見てから実際に消費を検討するまでには、長短のタイムラグがあります。その間、自社のブランドのことを消費者の記憶に残し、忘れられないようリマインドし続けないといけません。

そのために必要なこと、逆に、やってはいけないことが実務上いろいろとあります。広告でもファサードでも、考えるべきことの基本は同じです。長い商業の歴史の中で確立されてきたものです。

型通りやらないと大概うまくいかないし、型通りやっていても一筋縄ではうまくいかないのですが、そういった大変さも共通しています。できた広告に反応があったり、お店にお客さまが入店するところを見たときの喜びも共通しています。マーケターの皆さんは、メーカー・リテーラーの区分をのりこえて、いろいろな商品やサービスのマーケティングにチャレンジしてほしいなと思います。