「やってしまったなあ」と思ったチェーン店展開を解説するシリーズを開始します。他の皆さんがやってしまわないよう、ご参考になれば幸いです。

今日は、2015年4月に東京・代官山の『ログロード代官山』内に日本初上陸店舗をオープンした『カムデンズ ブルー スター ドーナツ』について考えます。専門紙の記事で久しぶりに思い出したのですが、最近、出店に関して動きがあったようですので、同社の多店舗展開について考えてみたいと思います。

『カムデンズ ブルー スター ドーナツ』は、2016年11月中旬の時点で7店舗を展開しています。表をご参照ください。

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1・2号店はアメリカ西海岸生まれのライフスタイル複合セレクトショップ『フレッド シーガル(Fred Segal)』内への出店であり、1年間に1店舗のペースで出店しておりましたが、今年9月に大増殖をしました。

なんと、今年9月だけで5店舗を開業し、そのうち3店舗は大阪という展開です。特に大阪では、心斎橋界隈だけで5日間に2店の出店です。

これは、いまだ十分にブランド認知度が高まる前の段階で、短期間に急激に店舗数を増加させるだけでなく、出店地域をも急激に拡大している、更には特定のエリアに短期間で複数の店舗をほぼ同時に開業している、などの側面を含んでおり、非常に“リスキー”な展開といえます。開業しても客数全体は大きく増えないうえ、客は店舗間に分散してしまうため、個々の店舗の客数が思うように伸びないことが予想されます。

心斎橋は、日本国内である程度の店舗数を開店した、少なくともこの会社よりは認知度の高い別のドーナツチェーンでさえも撤退したマーケットです。彼らにとって“初の路面店”である7号店は、慎重に多店舗化すれば“とれたであろう売上”を、実際の売上が大きく下回り、苦戦必至であり、この出店がネックとなり、今後は新規出店どころではなくなるようになるように思えてなりません。

専門紙記事の読後の感想は一言、「やってしまったなあ」というものでした。

余談ですが、自身の不勉強で、このチェーンはポーランド発のドーナツ屋さんと思いこんでいたところ、お恥ずかしい大間違いで、アメリカ・ポー“ト”ランド発だったことが分かりました。同紙によれば、「米国でベスト10のドーナツ店」と評価されているとのことです。

次回のブログでは、一ヶ月で店舗数を250%増加させた『カムデンズ ブルー スター ドーナツ』にちなんで、新規出店のスピードが速すぎるとどうなるか?ということを考えてみたいと思います。