前回は、売上予測をするとは、①既存店舗の売上の傾向を把握し、②それを新規物件の条件に当てはめて予測額を算出することであるとお話ししました。

「①既存店舗の売上の傾向を把握する」とは、直近12ヶ月移動平均で把握した店舗売上が全店の平均売上のまわりにばらつきますが、各店舗の売上の全店平均からのばらつき(離れ具合)を、それがなぜ生じるかを説明する要因を1つずつ加味することにより、小さくしていくことでした。詳細は改めてお話ししますが、今はこのようなイメージを持っておいてください。

今回は、「②それを新規物件の条件に当てはめて予測額を算出する」ことのイメージをつかんでいただきたいと思います。具体的な方法は改めてとり上げますので、あくまでもアウトプットのイメージを確認してください。

結論から申しますと、①で既存店舗の売上の傾向を把握した結果は、下記のような一本の数式(モデル)で示されます。

店舗売上=係数1×要因1+係数2×要因2+・・・+係数n×要因n+定数

売上を説明する要因がn個あったとして、既存店舗の売上とn個の各要因を示すデータとの関係を統計的に分析してn個の“係数”と“定数”を求めます。nは状況に応じて変化する数で、場合によっては1(つまり要因は1つ)としたり、3(つまり要因は3つ)としたり、自由に設定できます。既存店舗の数が多いと要因を増やすことができます。

この式に、新規物件の各要因を示すデータを代入することで、自動的に店舗売上が計算され、その金額をこのモデルに基づいて算出された“予測値”と考えます。

エクセルに組み込めば新規物件の関連データを入力すると予測値が自動的に求まるようになります。表に簡単なダミー事例を示しました。黄色の部分に数字を入力すると、黄緑色のセルに自動的に値が表示されます。

係数は統計的な手法で求められた数字で予測時に変更してはいけません。このような仕組みを作り上げることが売上予測の業務です。

【表】売上予測(モデル)のイメージ

Sales_Forecast_Model_Image

現時点ではイメージを持っていただければ十分です。

相応しい要因を決定して要因数を増やしていけば、店舗間の売上のちらばり(全店平均からの個々の店舗の売上の離れ具合)が小さくなっていき、数式(モデル)の説明力が増していくのです。

全店平均からの個々の店舗の売上の離れ具合の全体を100とした場合、その90%から95%を説明できるようにすることが目標とされます。これを自力でできるようになる方法を次回から引き続きお話しします。

(つづく)