12ヶ月移動平均は店舗の“稼ぐ力”を表す

前回の【グラフ2】(12ヶ月移動平均グラフ)で、数字が下降傾向になることを確認しました。

直近12ヶ月移動平均を12倍した値は何でしょう?それは店舗の年俸に相当します。言い換えれば、店舗の一年間の“稼ぐ力”です。グラフ2はそれが下降傾向にあることを意味しています。確かに、8月や11月の前年比の落ち込みが大きいことが月商データからも確認できます。

月商の推移を見るだけでは気づくことが難しい、店舗の“稼ぐ力”を月商の直近12カ月の移動平均のグラフは示してくれます。日販や月商は、天候や突発的な要因、季節的な要因などの影響を受けます。店舗を運営する部署の担当者はそうした数字を細かく分析されているはずです。それに対して、店舗開発の担当者は、店舗売上の“短期的な変化を説明する要因以外の要因”を決定する立場にあります。そのためには、短期的に変化する要因や季節変動による影響が除去されている数字を分析する必要があり、それが直近12か月移動平均なのです。

“短期的な変化を説明する要因以外の要因”とは何でしょう?

これについては改めて説明する予定ですが、競合の影響が含まれます。近隣に競合店が出店した場合、店舗売上は影響を受ける可能性があります。また、自社の店舗を至近距離に出店する場合、売上の共食い(カニバリゼーション)が生じる可能性があります。こうした競合の影響を分析する際に、日販や月商の変化を観察すると短期的な要因との区別がつかず、誤った判断をする危険があります。この場合は、直近12ヶ月移動平均にどのような影響があったかを確認するべきなのです。

経験則上、競合の出店の後、12か月移動平均に5%以上の下落があった場合は競合の影響があったと言って良いでしょう。競合が出店した日に店舗売上が10%落ちたからといって、単純に10%の影響があったと言うのは感情的で間違った判断と言えます。

明日のブログでは、「売上予測とは何をすることか?」についてお話しします。