昨日の続きです。では、各エリアが健康か病気かを判断するのに必要なことは何でしょうか?

それは、健康な状態と病気の状態を定義すること、そして、二つの状態を区別するために用いることが可能な客観的な数値を把握することです。

【表1】はエリアの健康な状態と病気の状態を対比させたものです。

【表1】エリアの健康状態

【表1】エリアの健康状態

競合企業よりも店舗数が多くあり、継続的な出店がなされている場合、その企業は市場シェアが高く、成長しているという印象を消費者に与え、その結果、市場規模に対して十分な数の店舗をエリア内に配置できているような状態。これを、エリアが“健康な状態”とします。

逆に、競合企業よりも店舗数が少なく、継続的な出店がなされていない場合、その企業は市場シェアが低く、成長しているという印象を消費者に与えることができず、その結果、市場規模に対して十分な数の店舗をエリア内に配置できていないような状態。これをエリアが“病気の状態”とします。

【表2】エリアの健康状態判断のための客観的な数値の例とその求め方

【表2】エリアの健康状態判断のための客観的な数値の例と求め方

を示しています。

店舗数シェアは、いわゆる市場占有率と同じ考え方により求まる数値です。そのエリア内の自社店舗数が、自社を含む同一業界に属する企業の店舗数の合計に占める割合です。高いほどエリアは健康な状態にあると判断します。

ブランドの活性化の度合いは、なかなか数値化が難しいのですが、「エリア・エイジ(Area age)」という概念を提案させていただきます。一店舗を出店したのちに長らく追加出店が無い場合と、追加出店を継続することで大小が異なる数値として考案したものです。

求め方は、エリア内の個々の店舗の年齢(age)を求め、それらを合計し、その値を店舗数で割るだけです。エリア内の店舗の平均年齢とでも言えば分かりやすいかもしれません。

あるエリアに5年前に一店舗開店後、追加出店が全くない場合、エリア・エイジは5年となります。

では、あるエリアに5年前に一店舗開店後、2年前に二店舗目を開店した場合のエリア・エイジは?(5+2)/2=3.5年です。低いほど健康な状態にあると判断します。

個々の店舗の店舗業績も同時に確認する必要があり、エリア・エイジと店舗業績、例えば売上の対前年比の相関関係を調べてみるのも面白いかもしれません(相関関係の見方、相関係数の求め方、会議等での説明方法に関しては後日改めてお話しさせていただきます)。

最後に市場規模に対する店舗数ですが、これは10万人(この数値は別の値に代えても構いません)あたりの自社の店舗数で把握します。個々のエリアごとに人口が異なるため、ある一定の人口数あたりの数字に修正した店舗数を用います。人口40万人のエリアに4店舗あれば、そのエリアの10万人当たり店舗数は、4×10万/40万=1店舗となります。

では、人口50万人のエリアに2店舗の場合は?2×10万人/50万人=0.4店舗です。これは少ないよりは多くあるべき数値ですが、多ければ多いほど良いというものではありません。個々のエリアの平均と比較し、それを下回っていれば出店余地があると考えるべき数値です。

御紹介した数値を組み合わせて活用し、皆さんの会社の出店済みエリアの状態を診断し、分類してみてください。

続きは明日のブログで。