「何年後までに100店舗へ」
飲食・小売・サービス業の成長計画では、店舗数の目標が掲げられます。その実現に向けて、出店候補地や物件、人員、投資額を検討している経営者・事業責任者の方も多いでしょう。
ここで、もう一つ考えたいことがあります。
店舗が増えたとき、その成長を支える仕組みはどう変わっているべきでしょうか。
福徳社の動画シリーズ「店舗開発と研究」を始めました。第1回では、加藤拓が取り組む店舗数目標と多店舗化の研究を入り口に、成長過程で考えるべき問いを紹介しています。
▶ 約5分の動画を見る:https://youtu.be/3hZXd-pBkTo
最初の成功は、次の地域でも再現できるか
創業地で行列のできる店が、別の地域でも同じように支持されるとは限りません。
都市部から地方都市へ。駅前からロードサイドへ。出店する場所が変われば、来店する人や利用する場面も変わります。
次の出店を考えるときには、「今の店が売れている」という結果から一歩進み、何が支持され、その条件が次の地域にもあるのかを確認したいところです。
例えば、通勤途中に立ち寄る需要で成り立っている店と、週末に車で訪れる需要を想定する店では、同じ商品を扱っていても確かめるべきことが違います。
この見方は、既存の飲食チェーンをM&Aで取得し、成長計画をつくる際にも使えます。現在の店舗群の業績を、新たに出店するエリアへどこまで延ばして考えられるか。その前提を明らかにすることが、計画を具体化する出発点になります。
出店戦略の前提を、最初に決めておく
多店舗化を目指すなら、最初に揃えておきたい前提があります。「ブランドイメージ」「目標店舗数」「地理的範囲」の三つです。
- ブランドイメージ:誰に、どのような場面で利用され、どのような店として認識されたいのか。
- 目標店舗数:どれほどの店舗数へ成長させたいのか。
- 地理的範囲:特定の地域に集中するのか、広い地域へ展開するのか。
この三つは、組み合わせて考える必要があります。例えば、同じ30店舗でも、一つの地域に集中する場合と全国に分散する場合では、ブランド認知の高め方も、物流や店舗管理の体制も変わります。
この前提を揃えることで、どの地域に何店舗を配置し、どの順番で出店するかという市場計画が具体化します。物件が見つかるたびに判断するのではなく、目指す店舗網に照らして、出店すべき物件を選べるようになります。
必要な準備は、出店計画から逆算する
ここで重要なのが、準備にかかる時間です。
店長の採用・育成、商品の供給体制づくり、新しい地域での物件開拓は、出店を決めた翌日に整うものではありません。いつまでに、どの地域へ、何店舗を展開するのか。その計画から逆算して、準備を始める必要があります。
「まず1号店を開けて、うまくいったら多店舗化の方法を考えよう」では、次の出店に必要な人材や体制が間に合わず、目標とするペースで展開できなくなるおそれがあります。既存チェーンの成長計画やM&A後の拡大計画でも、同じことがいえます。
もちろん、最初から将来の全店舗を支える設備や組織を完成させるという意味ではありません。目指す姿と出店の順序を先に定め、初期店舗で確かめた結果を踏まえて計画を更新しながら、時間のかかる準備を進めていくということです。
人材育成や物流、本部体制の整備も、この出店戦略を実現するために位置づけます。店舗数の目標とともに、「何を、いつまでに準備するか」が示されていること。そこまで考えて、出店計画を実行につなげたいところです。
大手の現在だけでなく、成長してきた過程を調べる
多店舗化を考えるうえで、大手企業の事例は参考になります。ただ、すでに大きな店舗網を持つ企業の仕組みを、今の自社へそのまま移すのは難しい場合があります。
知りたいのは、その企業が成長の途中で何を変えてきたかです。
どの地域から始め、どの順番で出店エリアを広げたのか。一つの地域にどれほど店舗を集中させ、次の地域へ進むまでに何を整えたのか。現在の店舗数や立地だけでなく、その店舗網ができるまでの経緯を調べることが、自社の出店戦略を考える手掛かりになります。目標に届かなかった事例や、現在成長を続けている企業も含めて比べることで、自社の判断に必要な問いが見えてきます。
今回の動画は、そのための研究の途中経過を紹介するものです。すべての企業に共通する成功法則が確定した、というお話ではありません。
経験から生まれた問いを、研究する
加藤は動画の中で、自分が複数の企業で経験したことだけでは、多店舗化に関する問いに十分には答えられないと話しています。
経験を出発点に、事例を調べ、違いを比べる。その積み重ねによって、経営判断に役立つ情報をつくっていく。それが、福徳社の取り組む研究です。
動画の最後には、「研究は誰でもできる。誰でもやる権利がある」という言葉を残しています。
日々の仕事で感じた「なぜだろう」を持ち帰り、調べてみる。自分の経験と違う事例に触れ、考え直してみる。実務の中にも、研究の出発点はあります。
「店舗開発と研究」シリーズでは、こうした問いを、経営や店舗開発の判断につながる形で発信していきます。
多店舗化の次の一手を、ともに考える
福徳社は、出店戦略・店舗開発のコンサルティングと実務支援に取り組んでいます。
新たなエリアへの進出、出店ペースの見直し、M&A後の店舗網拡大などを検討する際に、何を調べ、どの前提から整理すべきか。経営者・事業責任者の皆さまと、ともに考えます。
ご相談は、福徳社Webサイトのお問い合わせ窓口からお寄せください。