出店候補物件の現地調査を行う際の正しい方法

開業できそうな物件情報を不動産業者等からキャッチすると、漠然としていた開業のイメージがぐっと現実的なものになり、あたかもその物件が素晴らしいもののように思えてしまい、開店を前提に現地調査を行ってしまいがちです。

しかし、物件のサイズや形状、街のイメージなどが自分のビジネスにピッタリだと思ったとしても、一度立ち止まって、冷静になって物件を評価する必要があります。

ここでは出店候補地の物件情報をもとに、現地調査を行う際の正しい方法を述べたいと思います。

現地調査の最終目的は何か?それは、その物件を冷静に評価することです。

冷静に評価するとは何をすることか?それは、仮に開業した場合に長期的に収益性を維持できる立地・物件かどうかを判断するための情報を集め、出店の可否を判断するということです。

ある路面店舗の物件の現地調査のため物件の最寄駅に到着したとします。あなたはどうしますか?
地図を見ながら物件の場所へまっすぐ向かうとしたら、現地調査で得るべき情報のごく一部しか得られず、不十分な情報で出店判断をすることになります。それは危険なことです。出店判断のための現地調査は、物件と近隣の状況を確認するだけのものではありません。

出店候補物件の最寄り駅に着いたら

いきなり地図を見ながら物件の場所へ向かってはいけません。

  • 最寄駅に着いたら、まず改札口を出てどちらの方向に歩いている人が多いか確認しましょう。半々の場合もあれば、どちらかの方向にほとんどの人が向かう場合もあるかもしれません。
  • 次に、たくさんの人が歩いていく方向に自分も歩いて行き、その先に何があるのかを確認しましょう。
  • 集客力のある施設があり、ほとんどの人がそこに吸い寄せられるように入っていくとしたら、駅からその施設の間は駅の乗降客が通行する必然性が強い線です。このように多くの人を吸引する力のある施設をTG (Traffic Generatorの略)といい、人が行き来する経路を動線といいます。動線には強弱があります。
  • 最寄駅周辺の①主要なTGは何か、②強力動線はどこからどこまでか、③一等立地はどこか、を実際に歩いて把握しましょう。TGが複数あり、それに伴い動線も複数ある駅もあります。その場合は通行量の大小などから動線の強弱を把握しましょう。
  • 人がよく歩いているのはどの道で、それはなぜかを考えましょう。

物件の立地や構造を確認する前に、上記のような周辺環境の把握に十分な時間をかける必要があります。実際に、企業の店舗開発担当者は、出店候補地の周辺の様子について、平日と休日の違い、1日のうちの時間帯による違いまで確認します。

周辺のTGや動線、一等地の立地、競争相手の立地が把握できたら、それらと比較することにより物件の立地を評価します。

物件の立地評価の正しいやり方については、次号で述べたいと思います。続きは次回のブログで。