『カールスジュニア』が日本で定着するための出店戦略を勝手に考える

一号店出店の時に話題になったブランドの多くは、その後、マクドナルドやスターバックスのクラスに成長することを目標とするものの、実現しないケースが非常に多いです。

店舗展開し始めのころには“勢い”や“直感めいたもの”で「店舗数を1000店にする」などと経営者が豪語するものの、早い段階から成長がスタックしてしまうことは、よくあるように思います。

多店舗化に失敗し撤退した企業を、そうした経営者を含む消費者は、街で目にしたり利用したりすることはできません。逆に、消費者が街でよく目にしたり、利用したりする企業は、既に多店舗化にある程度成功し定着した企業ばかりです。ある程度成功した企業ばかりを目にしていると、“自分たちのブランドも簡単に成功できるのではないか、スターバックスのようになれるのではないか”、と考えてしまうのかもしれません。

しかし、それは、“非常に危険な勘違い”です。

私自身が成功したチェーン企業の成長過程に(部分的にですが)関わった経験から考えると、成功することは、そう簡単なことではありません。

数字の目標は容易に立てることができます。“10年間で目標店舗数1000店”などです。

また、実際に出店すること自体もそう難しいことではありません。新たな商業施設の開業や増改築、リニューアル、テナントの一部入れ替えなど“出店機会”は頻繁に出てくるためです。こうした出店機会がある立地にホイホイ出ていくことで、店舗数は増やすことができます(これを“物件ありきの出店”といいます)。しかし、そのような方法で店舗数を増やすことで、実際に市場に定着できるか、消費者の選択肢に入り込めるか、新店に投資できるだけの収益を既存店が継続的に上げ続けられるかというと、そうとは限らないのです。

見知らぬブランドが自分の街に出店したとしても、消費者は気づかないか、素通りするかであり、そう易々と入店し、お金を払うまではしてくれないものです。私がよく行く飲食チェーンでも、ポテンシャルはあるブランドなのに、その地域ではまだ知名度が低く、盛んに店員さんが大声で客引きをしているものの昼間から閑古鳥が鳴いている店舗で、“快適な仕事場”として使わせていただいているところがいくつもあります。それは私にとってはありがたいことですが、そのブランドにとっては、実はもっと売上が取れていたはずなのに、それを取れていないという意味で、“もったいない”ことです。こうした出店を積み重ねれば、店舗数は増えるものの実益が伴わず、縮小・撤退に追い込まれかねません。そんな時、大概の評論家は“その理由は商品や価格が消費者のニーズに合わなかった”などという“誤った”コメントをするものです。

先日、今月弊社でリテールブランド浸透度調査を実施した『カールスジュニア』秋葉原一号店を訪店し、おいしくランチをいただきました。そして、カールスジュニアには、上記のようになってほしくないと思いました。そこで、福徳社“勝手に経営企画室”チームでは、カールスジュニアの日本市場における出店戦略を考えてみました。続きは次回のブログ(その2)で。