IKEAへ行くと、私は家具より先に入口を見ます。
そして店内を歩き終えたら、今度は「帰ろう」と思ったあとの自分を観察します。
入口と出口は離れていますが、どちらにも、お客さまが買う理由の変化が表れます。
私は以前、IKEAでマーケティングリサーチの仕事に携わっていました。
その頃から、ショッピングはさておき入口や出口を観察する癖がついてしまいました。
IKEAの入口では「最初に持つもの」を見る
IKEAへ入ったら、最初の5分だけ歩いてみてください。入口付近には黄色いショッピングバッグがあり、その周辺には手に取りやすい生活雑貨がまとまって並んでいます。
ここで私が見るのは、何が売られているかだけではありません。
- なぜバッグが入口にあるのか。
- なぜ近くの商品は持ち帰りやすいのか。
- なぜ一つずつではなく、まとまった量で見せられているのか。
家具を選ぶ前に、最初の小さな判断が起きています。

バッグに一つ入れる前後で行動は変わるか
空のバッグを持っているときと、商品を一つ入れたあとの自分を比べてみてください。
歩く速度は変わるでしょうか。ほかの商品にも手が伸びやすくなるでしょうか。大きな家具を見るときの気持ちにも変化があるでしょうか。
私は、一つ目の商品が入った瞬間は、店内で起きる小さな転換点だと考えています。「今日は見るだけ」だった時間が、「何を買おうか」と考える時間に変わることがあるからです。
この場面では、バッグ、陳列量、価格表示、通路が一緒に働いています。
これらを一体として設計・観察するのが、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の考え方です。
IKEAの出口では「今日買う理由」を見る
店内をひと通り歩くと、「楽しかった。でも今日は買わなくていいかな」と思う瞬間があります。展示を十分に見て、少し疲れ、あとは帰ろうと考え始める頃です。
そのあと、会計へ向かうまでに何が目に入るでしょうか。
SALE品、持ち帰りやすい小物、遠くからでも分かる価格表示。なぜその商品が、その場所に置かれているのでしょう。
私は、SALE品には安く売ることに加えて、帰ろうとしている人へ、最後にもう一度「今日買う理由」を渡す役割もあるのではないかと考えています。

入口と出口は一つの動線としてつながっている
IKEAの店舗動線を見ると、入口、売場、会計、出口が一つにつながっていることに気づきます。それぞれを別々に見るだけでは、店内で起きている変化を捉えきれません。
入店直後は「最初の一つを手に取る理由」。退店前は「今日買う理由」。同じ買い物でも、お客様が必要とするきっかけは、動線の中で変化します。
入口から出口まで自分で歩き、どこで目が止まり、気持ちが変わったかを残すと、店舗動線の見え方が変わります。
秒判断ワーク|IKEA編
次にIKEAへ行ったら、次の三つだけ確認してみてください。
- 入口で最初に手に持ったものは何か
- バッグに一つ入れた前後で、自分の歩き方が変わったか
- 帰ろうと思ったあと、最後に足を止めた商品は何か
店舗や時期によって、バッグの場所、商品の見せ方、SALE品の配置は変わるかもしれません。その違いも、店の変化として観察できます。
次にIKEAへ行ったら、家具を見る前に、入口を5分だけ観察してみてください。
そして、帰ろうと思ったあと、もう一度立ち止まってみてください。
同じ店でも、「買う理由」は入口と出口で変わっているかもしれません。
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この「秒判断ノート」では、街で見つけた第一印象を少しずつ観察していきます。
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