限られたアウトレット利用者を激しく奪い合う現状が明らかに

「調査結果報告」シリーズでは、(株)福徳社の独自リサーチ『商業施設利用実態調査2015』レポートから、分析担当者が注目したデータをピックアップしてお届けします。

消費者は、買い物機会の全てを一つの施設で完結させているとは考えにくく、複数の施設を併用しています。また、話題性のある商業施設に一度は行ってみたいという消費者は多いでしょう。そこで、どの施設とどの施設がどの程度バッティングしているか、テナント企業としては気になるところではないでしょうか。

そこで、『商業施設利用実態調査』(2015年6月中旬実施)では、1都3県の消費者に対し、開業時に話題性が高かったと(株)福徳社が判断した22の商業施設(キラリナ京王吉祥寺イケア立川イオンモール幕張新都心マークイズみなとみらい酒々井プレミアムアウトレットモールKITTE三井アウトレットパーク木更津ダイバーシティ東京渋谷ヒカリエ東京ソラマチ東京スカイツリータウンビックロららぽーと富士見プラチナ ドン・キホーテ白金台店二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケットLOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)MORI PARK Outdoor Village(モリパーク アウトドアヴィレッジ)原宿ALTA(原宿アルタ)大宮ラクーンイオンモール木更津イオンモール多摩平の森グランツリー武蔵小杉ららテラス武蔵小杉)について、「利用したことがあるか」(利用経験)を尋ねました。そして、各商業施設の利用経験者が、他の商業施設の利用経験もあるかどうかをクロス集計し、商業施設間の併用率を求めました。

さて、最近の大規模な増床も話題を呼んだ人気アウトレット『酒々井プレミアム・アウトレット』(2013年4月OPEN)と『三井アウトレットパーク木更津』(2012年4月OPEN)。両アウトレットの距離は、Googleマップによれば「渋滞なしで車で53分」なので、商圏の重なりも大きそうですが、併用率はというと…やはり高かったです。

  • 『酒々井プレミアム・アウトレット』の利用経験者の56.7%が『三井アウトレットパーク木更津』を利用したことがあると答えました。
  • 『三井アウトレットパーク木更津』の利用者の41.3%が『酒々井プレミアム・アウトレット』を利用したことがあると答えました。

つまり、より新しい『酒々井プレミアム・アウトレット』の利用者の6割弱は『三井アウトレットパーク木更津』の顧客で、逆に『三井アウトレットパーク木更津』の顧客の4割強は既に『酒々井プレミアム・アウトレット』にも行ってみた、ということになります。

2つの大規模アウトレットモールが、限られた市場で、消費者のアウトレット利用機会を激しく奪い合っているようです。

その他の千葉県の人気商業施設との併用率も高く、消費者にとっては、大型商業施設のチョイスが「よりどりみどり」になりつつあることが読みとれます。