消費者が「定着していない」商業施設に分類された『酒々井プレミアム・アウトレット』~その理由と背景を消費者行動データから読み解く~

福徳社では、開業時に話題性の高かった首都圏大型商業施設につき、開業後1年以上を経過した現時点でどの程度消費者の日常的購買行動に定着したかを消費者行動から検証する独自リサーチ『商業施設利用実態調査2015』を実施しました。その結果の概要をお知らせします。

『酒々井プレミアム・アウトレット』は、本リサーチの分析結果では、『東京ソラマチ東京スカイツリータウン』『三井アウトレットパーク木更津』『 KITTE 』とともに【消費者が「定着していない」商業施設】グループに分類されました。リーセンシー(直近で利用したのはいつか)、フリークエンシー(利用頻度)ともに低く、定着した顧客の比率も比較的低いため、調査対象施設との比較において、「日常的な買い物の場」として定着したとは言い難いと判断されました。

レポート「商業施設利用実態調査2015【酒々井プレミアム・アウトレット編】」では、リサーチ結果データの表やグラフとともに詳しく解説していますが、ここでは概要をご紹介します。

リサーチ結果(サマリー)
  • 『酒々井プレミアム・アウトレット』は、千葉県の女性を中心に認知度が高く、老若男女幅広い客層に利用され、今後利用意向も高い人気商業施設です。また、開業後のオープン景気が一服した後にも、大規模増床を行い、希少性の高いテナントを複数誘致することで、第二の開業に相当する新たな情報発信を行い、話題性を維持している点が注目されます。ニュートライヤーの伸びも若い女性やシニア層で盛んであり、引き続き利用経験率の伸びが期待されます。
  • 課題としては、まず、千葉県在住の利用者の比率が7割弱と高く、この規模の商業施設に期待される商圏の広がりが限定的である点が挙げられるでしょう。その原因としては、関東圏でアウトレットそのものの選択肢が増える中で、他のアウトレットに比べると目的地性に欠ける地域に立地することが考えられます。
  • また、リーセンシー・フリークエンシー・定着率が相対的に低いことも課題といえるでしょう。利用頻度が高まらない主要な原因の一つとしては、『三井アウトレットパーク木更津』との併用率が実に56.7%にのぼり、『三井アウトレットパーク幕張』、『あみプレミアム・アウトレット』との併用者も多いなど、複数のアウトレットが限られた市場で顧客のアウトレット利用機会を激しく奪い合っていることが考えられます。
  • 時間の経過とともにニュートライヤー獲得が一巡すれば、利用経験者のリピート獲得が重要性を増してくるものと考えられます。
リサーチ結果(詳細)

1.認知度

『酒々井プレミアム・アウトレット』を「知っている」と答えた人の割合は、全回答者(1都3県に住む男女合計)の43.0%でした。これは『ダイバーシティ東京』『三井アウトレットパーク木更津』『ビックロ』と同程度の認知度であり、関東でよく知られた商業施設の一つであるといえるでしょう。

  • 都県別で見ると、千葉県での認知度が68.4%と高く、東京都・神奈川県・埼玉県では比較的低かった。千葉県での認知度は、調査対象施設中トップである。
  • 性別で見ると、女性の間で認知度が高く、男性の方が認知度が低かった。

前回調査(2014年6月)時点での『酒々井プレミアム・アウトレット』の認知度との比較では、認知度が落ちておらず、維持(むしろ微増)した点が特徴的です。2015年4月第二期増設オープンで、第二の開業に相当する新たな情報発信を行ったことが、話題性の喚起につながったものと考えられます。特に、千葉県での認知度は、5.7%伸びています。

2.利用経験率

『酒々井プレミアム・アウトレット』を「利用したことがある」と答えた人の割合は、全回答者(1都3県に住む男女合計)の13.5%でした。ただし、千葉県だけで集計すると、もっと高い数値が出ています。

  • 都県別集計では、千葉県における利用経験率が高く、東京都・神奈川県・埼玉県では利用経験率が低い。大型の施設に期待される広域からの集客が十分にできておらず、商圏の広がりが限定的なことが分かる。
  • 性年齢別集計では、利用経験率に有意差はなく、いずれの性年齢グループでも1~2割弱の利用率がある。老若男女幅広い客層に利用されているといえる
  • 利用経験者のプロフィールの特徴をみると、居住する都県では、千葉県民の比率が高く67.2%を占め、神奈川県民・埼玉県民の利用者は少ない。性年齢別、婚姻の有無、職業では、回答者全体との有意差はなかった。老若男女幅広い客層を集客しているといえる。

前回調査(2014年6月)時点での『酒々井プレミアム・アウトレット』利用経験率と2015年結果の差異をみると、利用経験率は全体として3.6%伸びました。県別に集計すると、千葉県での利用経験率が9.2%伸びています。足元商圏での集客増が全体の伸びを支えていることが読み取れます。性別では女性、性年齢別では10~20代の若い女性とシニア層(男女)の利用経験率が伸びました。客層のすそ野が広がっている様子がうかがえます。

3.利用経験者の利用状況

フリークエンシー、定着率ともに相対的に低く、調査対象施設との比較において、消費者の「日常的な買い物の場」として定着したとは言い難いのが現状といえるでしょう。

  • 『酒々井プレミアム・アウトレット』利用経験者の49.3%が、「開業直後に行った」と答えている。
  • 「開業直後に行った」と答えた人のその後のリピート率は63.6%である。
  • 『酒々井プレミアム・アウトレット』利用経験者全体では、これまでに利用した回数が「1回」だけの人は44.8%である。リピーター比率は、「2回以上」が55.2%、「3回以上」が34.3%である。
  • 平均利用回数は2.28回で、調査対象施設の平均を下回る。
  • 定着率は14.9%で、調査対象施設の平均を下回る。
  • リーセンシー平均は10ヶ月と、調査対象11施設の平均よりも長い。3ヶ月以内に利用した利用経験者が28.4%、1年以上利用していない利用経験者が35.8%であった。
  • 今後利用意向では、利用意向の高い層が88.1%を占める。

4.他の商業施設との併用状況

商業施設利用実態調査2015【酒々井プレミアム・アウトレット編】では、『酒々井プレミアム・アウトレット』利用経験者のうち、他の調査対象商業施設の利用経験があると答えた人の割合(併用率)詳細に示しています。この商業施設が立地するエリアでは、大型商業施設が競合し、限られた市場で顧客の買物機会を激しく奪い合っていることが明らかとなる結果となりました。

  • 広域から集客している『東京ソラマチ』『ダイバーシティ東京』『渋谷ヒカリエ』の併用率が高いが、これは他商業施設利用経験者と同様である。
  • 特筆すべきはむしろ、商圏が重なる『三井アウトレットパーク木更津』『イオンモール幕張新都心』との併用者が利用経験者の半数にのぼる点である。
  • 今回の調査対象施設以外でよく利用する商業施設を自由回答で尋ねたところ、『酒々井プレミアムアウトレットモール』利用経験者の25.4%が「ららぽーとTOKYO-BAY」をよく利用すると答えた。これは、商業施設名を助成していない点を考慮すれば、高い数値である。『三井アウトレットパーク幕張』『あみプレミアム・アウトレット』など他のアウトレットも上位に挙がった。

以上です。ご自身の印象と比べて、いかがでしたか?

これまでの大型商業施設は、施設の規模を大型化し、そのテナントミックスにより魅力を高めれば顧客を遠方からでも集めることができるという考え方に基づき、立地を主体的に創造してきました。

しかし、この首都圏の大型商業施設の利用実態調査を見ると、限られた領域に複数の大型商業施設の開発が進めば、単に施設の規模が大きく、希少性のあるテナントがあるという理由だけで、広域からの集客、更には、顧客の常連化が達成できるとは限らないということが考察できます。

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