消費者が「定着している」商業施設に分類された『渋谷ヒカリエ』~その理由と背景を消費者行動データから読み解く~

福徳社では、開業時に話題性の高かった首都圏大型商業施設につき、開業後1年以上を経過した現時点でどの程度消費者の日常的購買行動に定着したかを消費者行動から検証する独自リサーチ『商業施設利用実態調査2015』を実施しました。その結果の概要をお知らせします。

『渋谷ヒカリエ』は、本リサーチの分析結果では、『キラリナ京王吉祥寺』『MARK IS みなとみらい』とともに【消費者が「定着している」商業施設】グループに分類されました。リーセンシーとフリークエンシーがともに高く、定着した顧客の比率も3割以上と高いためです。

リサーチ結果(サマリー)
  • 『渋谷ヒカリエ』は、関東で最も有名な商業施設の一つであり、開業時に話題性が高かっただけでなく、開業後3年以上経過した現在も高い認知度を維持しています。
  • 東京都と神奈川県ではほぼ2人に1人が利用したことがあるなど利用経験率が高いのですが、そればかりではなく、リピーター比率、平均利用回数(フリークエンシー)、直近利用時期(リーセンシー)、定着した顧客の比率も高いといった素晴らしいスコアが並んでいます。質・量ともに最も優良顧客の比率が高い商業施設であるといえるでしょう。
  • 『渋谷ヒカリエ』は、関東広域の商圏からまんべんなく集客しており、客層は老若男女に幅広く利用されています。埼玉・神奈川方面からの集客が伸びていること、ミドル男性の利用経験率が伸びていることなどをみると、商圏・客層の拡大はまだ続いているようです。
  • 乗降客数の多い主要ターミナル駅の一つである渋谷駅に直結していること、他の魅力ある商業施設に近接しており、かつ、渋谷駅周辺の開発はまだまだこれからも続くことを考えれば、今後も顧客の質・量が引き続き伸びていくポテンシャルの高い商業施設といえるでしょう。
リサーチ結果(詳細)
1.認知度

『渋谷ヒカリエ』を「知っている」と答えた人の割合は、全回答者(1都3県に住む男女合計)の70.3%でした。これは、『東京ソラマチ東京スカイツリータウン』と並んで、調査対象商業施設中最も高く、関東で最も有名な商業施設の一つであるといえるでしょう。

  • 都県別で見ると、東京都と神奈川県では認知度が高く、千葉県と埼玉県では比較的低い。
  • 性年齢別で認知度に有意差は無く、幅広い層でまんべんなく知名度が高い。

前回調査(2014年6月)時に『渋谷ヒカリエ』を「知っている」と答えた人の割合をみると、2015年6月調査結果との有意差はありませんでした。開業後3年以上経過しても認知度が落ちないのは、「定着した」サインの一つともとれます。

  • 神奈川県と千葉県では認知度が若干下がり、足元の東京都では横ばいである。埼玉県では、認知度は微増している。副都心線開通の影響が考えられる。
  • 男女別では、女性全体での認知度が若干下がった。性年齢別の集計では、2014年認知度との有意差はなかった。
2.利用経験率

『渋谷ヒカリエ』を「利用したことがある」と答えた人の割合は、全回答者(1都3県に住む男女合計)の38.0%と、調査対象施設中トップでした。東京都と神奈川県だけで見ると、もっと高い利用経験率となっています。

  • 都県別で見ると、東京都と神奈川県で利用経験率が高く、5割前後に達しており、いずれもそれぞれの都県では調査対象11施設中でトップである。千葉県と埼玉県では3割前後と、比較的利用経験率が低い。
  • 性年齢別では、利用経験率に有意な差はなく、いずれの性年齢グループでも4割前後の利用経験者が出現した。老若男女幅広い客層に利用されている。
  • 『渋谷ヒカリエ』利用経験者のプロフィールの特徴をみると、男女別・年齢別・婚姻の有無では、全体との有意差はなかった。老若男女幅広く集客しているといえる。職業では、「勤め人(会社員・役員・公務員)」の比率が回答者全体より高く「無職・定年退職」の人の比率が低かった。これは、都市型商業施設に共通の特徴である。居住都県では、東京都からの来客が多く、千葉県からの来客が低い。

前回調査(2014年6月)時における『渋谷ヒカリエ』利用経験率と今年の結果の差異をみると、神奈川県と埼玉県で利用経験率が伸びています。東京急行電鉄東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転開始により、商圏が広がったことの影響が考えられます。性年齢別では、30~40代男性の利用経験率が伸びました。まだニュートライヤーが一巡していない客層があることが読み取れます。

3.利用経験者の利用状況

『渋谷ヒカリエ』は、開業直後の認知獲得、ニュートライヤーの誘客、その後のリピート獲得など、開業後の集客に成功し、なおかつ、顧客のフリークエンシー、リーセンシーの獲得にも成功したことがうかがえます。調査対象施設との比較において、「日常的な買い物の場」として定着した商業施設であると認められます。

  • 『渋谷ヒカリエ』利用経験者の46.3%が「開業直後に行った」と答えている。
  • 開業直後利用者の74.7%が、その後リピートしている。
  • フリークエンシーの高い顧客の割合が高い。
  • 2回以上利用したリピーター比率は70.2% で、調査対象施設の平均より高い。
  • 3回以上利用した利用経験者の比率も55.9%と、平均より高い。
  • 1回だけの利用経験者比率は29.8%で、調査対象施設の平均より低い。
  • 平均利用回数は2.97回で、調査対象施設の平均よりもフリークエンシーが高い。
  • 定着率は29.8%で、調査対象施設平均より高い。
  • リーセンシーは9.3ヶ月である。3ヶ月以内利用者が37.8%と、調査対象11施設平均よりも高い。
  • 今後利用意向では、利用意向の高い顧客が8割を占めている。
4.他の商業施設との併用状況

商業施設利用実態調査2015【渋谷ヒカリエ編】では、『渋谷ヒカリエ』利用経験者のうち、他の調査対象商業施設の利用経験があると答えた人の割合(併用率)詳細に示しています。これを見ると、『渋谷ヒカリエ』が関東広域から集客していることがよく分かります。

  • 『渋谷ヒカリエ』利用経験者のうち、他の調査対象施設の利用経験があると答えた人の割合を集計したところ、広域から集客している『東京ソラマチ東京スカイツリータウン』『ダイバーシティ東京』の併用率が高かった。これは、他商業施設利用者と同様である。
  • ターミナル駅近くに位置する『ビックロ』『KITTE』の併用率が高く、駅同士が鉄道で連結する『MARK IS みなとみらい』の併用率も高い。この点は、ターミナル駅に立地する商業施設に特徴的である。
  • その他、1都3県の商業施設が幅広く併用されていることから、『渋谷ヒカリエ』が関東広域から集客していることがうかがえる。
  • 今回の調査対象施設以外でよく利用する商業施設を自由回答で尋ねたところ、『渋谷ヒカリエ』利用経験者の1割弱が『イオンレイクタウン』をよく利用すると答え、『ラゾーナ川崎プラザ』『ららぽーとTOKYO-BAY』も上位に上がった。その他多数の商業施設名が挙がっており、関東広域から集客していることがうかがえる。
  • 他の調査対象施設利用経験者にたずねても、 『渋谷ヒカリエ』の利用経験があると答えた人はおおむね4~7割出現し、どの調査対象施設利用経験者においてもまんべんなく高い利用経験率を示した。このことからも、 『渋谷ヒカリエ』の商圏が広いことがうかがえる。

以上です。ご自身の印象と比べて、いかがでしたか?