消費者が「定着していない」商業施設に分類された『三井アウトレットパーク木更津』~その理由と背景を消費者行動データから読み解く~

福徳社では、開業時に話題性の高かった首都圏大型商業施設につき、開業後1年以上を経過した現時点でどの程度消費者の日常的購買行動に定着したかを消費者行動から検証する独自リサーチ『商業施設利用実態調査2015』を実施しました。その結果の概要をお知らせします。

『三井アウトレットパーク木更津』は、本リサーチの分析結果では、『東京ソラマチ東京スカイツリータウン』『酒々井プレミアムアウトレットモール』『 KITTE 』とともに【消費者が「定着していない」商業施設】グループに分類されました。リーセンシー(直近で利用したのはいつか)、フリークエンシー(利用頻度)ともに低く、定着した顧客の比率も比較的低いため、調査対象施設との比較において、「日常的な買い物の場」として定着したとは言い難いと判断されました。

レポート「商業施設利用実態調査2015【三井アウトレットパーク木更津編】」では、リサーチ結果データの表やグラフとともに詳しく解説していますが、ここでは概要をご紹介します。

リサーチ結果(サマリー)
  • 『三井アウトレットパーク木更津』は、女性を中心として認知度が高く、今後利用意向も高いことから、開業後3年以上を経過した今なお人気の大型商業施設といえます。老若男女幅広い客層に利用されています。
  • 消費者による利用経験率は全体として増加傾向にあります。特に神奈川県に住む消費者や、男性全体、制年齢別では50~60代男性の層で利用経験率の増加がみられ、利用者のすそ野はさらに幅広く拡大傾向にあるといえるでしょう。
  • 一方で、大型の施設に期待される広域からの集客が十分にできておらず、商圏の広がりが限定的であることがデータから読み取れます。
  • 認知度や今後の利用意向が高いにも関わらず、商圏が十分に広がらず、消費者のリピートが進まない原因の一つとして、この商圏に近接して、話題性の高い大型商業施設の開業が相次いでおり、競合が熾烈であることが、調査結果から読み取れます。特に『酒々井プレミアムアウトレットモール』とは、限られた市場で顧客のアウトレット利用機会を激しく奪い合っていることが読み取れます。
  • 顧客定着率が低く、利用した人の半数がその後利用しておらず、利用経験者の2度目、3度目の利用が進んでいないことがデータから読み取れます。一度利用した人のリピート率を上げることが、三井アウトレットパーク木更津にとって、消費者の定着に向けた最大の課題といえるでしょう。
リサーチ結果(詳細)

1.認知度

『三井アウトレットパーク木更津』を「知っている」と答えた人の割合は、全回答者(1都3県に住む男女合計)の43.8%でした。これは、調査対象施設では、『ダイバーシティ東京』『ビックロ』『酒々井プレミアムアウトレットモール』と同程度の認知度であり、関東でよく知られた商業施設の一つであるといえるでしょう。

  • 都県別で見ると、千葉県で認知が高く、埼玉県では低かった。
  • 性別で見ると、女性の間で認知度が高く、男性の間では認知度が比較的低かった。
  • 性年齢別で見ると、10~40代女性の間で認知度が高かった。

一方で、時間とともに忘却も進む傾向にあります。

  • 神奈川県、千葉県、埼玉県とまんべんなく忘却が進んでいるが、特に埼玉県で下がった。商圏外の消費者は忘れやすい傾向が読み取れる。
  • 1年前には、30~40代女性の間で特に認知度が高まっていた。2014年調査実施時期が、大規模増床の直後だったことが影響した可能性がある。

2.利用経験率

『三井アウトレットパーク木更津』を「利用したことがある」と答えた人の割合は、全回答者(1都3県に住む男女合計)の18.6%でした。ただし、千葉県、神奈川県だけで集計すると、もっと高い数値が出ています。

利用経験者は千葉県に住む人が多く、大型の施設に期待される広域からの集客が十分にできておらず、商圏の広がりが限定的なことが分かります。

  • 利用経験者が居住する都県では、千葉県民の比率が高く利用経験者のほぼ半数を占め、東京都民・埼玉県民の利用経験者は比較的少ない。
  • 性別、性年齢別、婚姻の有無、職業別では、老若男女幅広い客層を集客しているといえる。
  • 都県別集計では、千葉県と神奈川県における利用経験率が高く、東京都と埼玉県では利用経験率が比較的低い。
  • 性年齢別集計では、利用経験率にあまり差はなく、いずれの性年齢グループでも2割前後の利用率がある。老若男女幅広い客層に利用されているといえる

2014年6月時点での『三井アウトレットパーク木更津』利用経験率と2015年6月時点での結果とを比べると、消費者による利用経験率が、特に神奈川県で伸びています。

  • 利用経験率は全体として3.8%伸びた。
  • 県別では、神奈川県での利用経験率が伸びた。東京湾アクアラインでつながる神奈川県からの誘客を強化したことが、功を奏したものと考えられる。
  • 性別では男性、性年齢別ではシニア男性の利用経験率が伸びた。客層のすそ野が拡大している傾向が読み取れる。

3.利用経験者のリピート率

1回行っただけの利用者の比率が比較的高く、リピート利用につながっていないことが、『三井アウトレットパーク木更津』にとっての最大の課題と言えそうです。

  • 『三井アウトレットパーク木更津』利用経験者の37.0%が、「開業直後に行った」と答えている。その消費者のリピート率は50%にとどまる。つまり、開業直後に訪れた利用者の2人に1人は、それきり行っていないということになる。これは、調査対象11施設の平均よりも低い。
  • 『三井アウトレットパーク木更津』利用経験者全体を見ても、これまでに利用した回数が「1回」だけの人が53.3%にのぼる。これは、調査対象11施設の平均よりも高い。逆に、リピーター比率は、「2回以上」利用経験者、「3回以上」利用経験者のいずれも平均より低い。
  • 平均利用回数が調査対象11施設の平均より低い。
  • 定着率は14.1%で、調査対象11施設の平均を下回る。

4.リーセンシーと今後利用意向

リーセンシーの平均は10.7ヶ月で、調査対象施設平均よりも長くなっています。今後利用意向では、利用意向の高い人が利用経験者の81.5%を占めています。

  • 3ヶ月以内に利用した利用経験者が28.3%、1年以上利用していない利用経験者が39.1%であった。

5.他の商業施設との併用状況

商業施設利用実態調査2015【三井アウトレットパーク木更津編】では、『三井アウトレットパーク木更津』利用経験者のうち、他の調査対象商業施設の利用経験があると答えた人の割合(併用率)詳細に示しています。この商業施設が立地するエリアでは、大型商業施設が競合し、限られた市場で顧客の買物機会を激しく奪い合っていることが明らかとなる結果となりました。

  • 広域から集客している『東京ソラマチ』『渋谷ヒカリエ』『ダイバーシティ東京』の併用率が高いが、これは他商業施設利用経験者と同様である。
  • 特筆すべきはむしろ、商圏が重なる『酒々井プレミアムアウトレットモール』『イオンモール幕張新都心』との併用率がいずれも4割を超えている点である。
  • 開業後7か月の新しい『イオンモール木更津』との併用率もすでに約2割に達している。
  • 今回の調査対象施設以外でよく利用する商業施設を自由回答で尋ねたところ、三井アウトレットパーク木更津利用経験者の2割弱が『ららぽーとTOKYO-BAY』をよく利用すると答えた。これは、商業施設名を助成していない点を考慮すれば、高い数値である。

以上です。ご自身の印象と比べて、いかがでしたか?

これまでの大型商業施設は、施設の規模を大型化し、そのテナントミックスにより魅力を高めれば顧客を遠方からでも集めることができるという考え方に基づき、立地を主体的に創造してきました。

しかし、この首都圏の大型商業施設の利用実態調査を見ると、限られた領域に複数の大型商業施設の開発が進めば、単に施設の規模が大きく、希少性のあるテナントがあるという理由だけで、広域からの集客、更には、顧客の常連化が達成できるとは限らないということが考察できます。

商業施設利用実態調査2015【三井アウトレットパーク木更津編】では、より詳細なデータをご利用いただけます。福徳社ストアにてダウンロード販売を開始しました。

 

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