店舗の視認性を生成AIに評価してもらうなら、まず、どの写真を渡すかを考える必要があります。

店舗が最もよく見える位置で、看板を正面から大きく写した写真。それは表示内容を記録するには便利ですが、通行人が歩いてくるときの見え方を、そのまま示しているとは限りません。

新刊『店舗開発×AI ― 視認性評価の実務』では、撮影のポイントを「通行人の目線」に置いています。

店を撮るために、店へ向き直らない

カメラは通行人の目線に近い高さに構え、進行方向へ向けます。対象店舗の前に来ても、撮影のために店側へ向き直らず、そのまま通り過ぎる人の見え方を残します。

対象店舗が自然に画面の中央に入るなら、その構図で構いません。大切なのは、店舗を見やすく写すために、通行時とは異なる向きや位置を選ばないことです。

写真の目的が変われば、適した構図も変わります。視認性を評価するためには、周囲の表示や遮蔽物も含む景色が必要になります。

一つの接近方向につき、遠・中・近の三枚

本書では、接近方向ごとに遠・中・近の三枚を揃える方法を示しました。主な方向と反対方向の二方向なら、基本は六枚です。ほかに重要な接近経路があれば、同じ考え方で追加します。

距離を変えると、遠方では見えていた看板が途中で隠れたり、近づいて初めて文字が読めたりすることがあります。一枚だけでは分かりにくい変化を、三つの地点で確認します。

撮り方は、一律でなくて構いません。要所を選んで撮る方法も、歩きながら連続して撮った写真から選ぶ方法もあります。動画で記録し、必要な場面を静止画として取り出す方法も使えます。

本書の手順でAIに渡すときは、評価に使う地点を選び、その位置や方向が分かるように整理します。動画を使ったからといって、実際の通行人の視線や発見時間まで測定できたことにはなりません。

最初は、対象店舗を知らせずに尋ねる

写真が揃ったら、最初から「この店舗の視認性を評価してください」と指定する前に、対象を知らせない質問を行います。

例えば、写真の中で自然に注意を引きやすい店舗や看板を挙げ、その根拠を説明してもらいます。この段階では、対象店舗を示す枠や矢印、店名を与えません。

先に答えを知らせてしまうと、AIが指定された対象を見つけたことと、その対象が自然に目に留まりやすいことが混ざりやすくなります。そこで、対象を知らせない質問を先に終え、その回答を保存します。すでに対象を伝えた会話を使い回さないことも、手順上のポイントです。

対象を指定したら、四項目と根拠を確認する

次に、どの店舗を評価するかを示し、「視覚的露出」「注意獲得」「個店分離」「店舗理解」の四項目で確認します。

その際、評価するのは元写真の見え方です。対象を示す枠や矢印は、場所を伝えるための補助として扱います。

回答に点数だけが並んでいたら、写真のどの部分を根拠にしたかを追加で確認します。看板の位置、周囲との対比、遮蔽物、読める文字などが具体的であれば、担当者も点検しやすくなります。

遠・中・近、そして接近方向ごとの結果が揃ったら、どこで見え方が変わるかを比較します。「主な方向の遠方では表示が隠れるが、中間地点では見える」といった形で説明できれば、会議で必要な追加確認も明確になります。

写真から、説明までを一つの手順にする

生成AIへの質問文だけを工夫しても、写真が目的に合っていなければ、欲しい評価には近づきません。撮り方、質問の順番、回答の確認をつなげることが、実務で使うための要点です。

本書には、写真に対応させて使えるプロンプトと、根拠を残すワークシートを収録しました。まず一つの物件で試し、回答がどの写真のどの部分に基づいているかを確かめてみてください。

書籍のご案内

『店舗開発×AI ― 視認性評価の実務』
加藤 拓・小泉 真理 著/株式会社福徳社 発行

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「店舗開発×AI」の動画講座も制作予定です。講座の最新情報は、福徳社 チェーン店ビジネス実務塾でご案内します。

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