旅行・外食、意外な混雑スポット|スイスと日本で考えるニューノーマルの行方

旅行・外食、意外な混雑スポット|スイスと日本で考えるニューノーマルの行方

それでも、たくましく夏を楽しみたい消費者の創意工夫

福徳社 小泉 真理(@東京都八王子市):前回、ヨーロッパでは、小売業の売上は今年8月には回復していたという話がありましたが、この夏、外食や旅行はどうでしたか?

上月 美穂(@スイス・ジュネーヴ):ジュネーヴでは皆さん、夏にはもう普通にビジネスランチされていました。

感染対策という意味では、外気と触れられるところや入り口の近くやテラス席など、換気の良いところが利用されています。今の時期、暑いので、中で食事している人は見かけないですね。どこの店も、通行人が歩いている道路にまで席を出したりして、テラス席を増やしています。

小泉日本は夏の天候の変化が激しすぎて、なかなかテラス席が稼働しないですが、夏のヨーロッパは、外が気持ちいいですもんね。

上月:先日ドイツでランチしたときも普通に人が入っていました。間隔を1.5メートルぐらいあけて、プロテクションもして、席を置いていました。

レストランで食べなくても、親しい家族同士で家に呼び合って、一緒に夕食を食べたりする機会も増えています。そんな需要もあって、テイクアウトの売上が増えているようです。

小泉:日本は、今年4月に外食全体の売上が前年同月比60.4%まで落ち込んで、徐々に回復はしていますが、8月前年同月比も84.0%にとどまっているそうです(出所:日本フードサービス協会)。皆さんまだまだ、自粛ムードにあるようです。

上月:ヨーロッパは、EU全体でみると、今年2月から6月にかけて、サービス業全体の売上が16.4%ダウンしています。うち旅行と外食は、旅行業者が-83.6%、航空が-73.8%、ホテルが-66.4%、外食が-38.4%と大打撃を受けました。

でも、外食とホテルのセクターについては、6月から売上が急回復しています。特に外食は、レストランの新店オープンが相次いだこともあり、夏にはコロナ前の水準に戻っていたようです(出所:Eurostat)。

ジュネーヴでも、8月にラーメン屋さんが経営する『YUKI CAFÉ』というおしゃれな日本のカフェがオープンしていました(紹介記事はこちら)。

小泉:ヨーロッパではもともとEU圏内旅行の8割以上が車移動ですから、車で行けるレストランやホテルは需要の回復も早いのでしょうね。

上月:旅行の方でいうと、ヨーロッパではこの夏、全く泊りがけの旅行に出かけなかった人もいましたが、気をつけながらも国内外の旅行を楽しんでいた人も多かったように思います。

うちはこの夏、車でヨーロッパパークに行ったのですが、どのアトラクションも長蛇の列で、驚くほど混んでいました。テラス席と同様、外だったら大丈夫かな?という発想で行ってみたのですが。

小泉:ヨーロッパパークは、ドイツ最大のテーマパークですよね。みんな同じこと考えてたって感じですね。

上月インドア・アウトドアの巨大なウォーターワールドが新しくできたの、ご存知ですか?昨年末にオープンしたばかりなのに、その直後にロックダウン、今年6月下旬から新しい衛生基準を導入して再オープンしたんです。

ジェットコースターのある方のヨーロッパパークはマスク着用なのですが、ウォーターワールドは更衣室まではマスク着用で、そこから先、プールのところではマスクを外していいですよ、となっていました。久しぶりにマスクなしで人が大勢うろうろしているところを見て、ちょっと衝撃的でした。幸いなことに、今のところクラスターは発生していないようです。

小泉:知らなかったです。サウナもあって、北欧テーマなんですね。おしゃれなサマーランドって感じですね。

上月:あとは、キャンプなどのアウトドア系レジャーや、山の観光地などは繁盛しているようです。普段はフランスの観光地のほうが安いので人気があり、スイスは高いのでそれほど混まないのですが、知人がずいぶん前にスイス国内で冬のバカンスを予約しようとしたら、もうどこもいっぱいだと言っていました。

その他も、ロックダウン後に州をまたいだ移動が解禁になってから、スイス国内で「どこどこに行ったら意外と混んでいた」という話を聞くようになりました。

小泉:スイスのリゾートのほうが安全なイメージがあって、選ばれているのかもしれませんね。「アウトドア」「安全第一」がキーワードになっている感じでしょうか。

上月:パリなどの大都市に旅行に行くよりは、車で行ける場所で、空気の良さそうなところが選ばれる傾向はあると思います。山や湖畔のアパートを1週間借りて自炊し、家族や友人と過ごした人もいました。

ホテルに泊まっても、お掃除している人もマスクをしていますし、泊まっている間は掃除の人に入らないでもらうこともできます。旅行に行った人は、人と接触しないようにそれぞれ工夫しながら、バケーションを楽しんでいたのではないかと思います。

小泉:ヨーロッパの人にとっては、夏のバカンスって、大イベントですもんね。そのためにお金を貯めて、前々から家族や友人とプランニングして。以前ドイツの化粧品メーカー本社で働いていた時、私の職場の同僚はみんな「夏のバカンスのために1年間、何事もガマンして働いているんだ」と言ってましたから。

どんな状況でも創意工夫して夏を楽しむぞ、という意欲は、コロナ後も変わらず旺盛ということでしょうか。

上月:環境を変え、日常のルーティンから離れてリフレッシュし、再び仕事や生活への活力を取り戻す、ということなのでしょうね。バカンス明けは、皆さん笑顔で機嫌も良く、職場環境や地域コミュニティがなごみます。

また、ジュネーブでも他のヨーロッパ各国同様、秋から急激に太陽を見なくなりますから、夏のうちに太陽光を浴びておくことは健康上大切、ととらえられていることもあると思います。

小泉:一方で、この間、オンラインショッピングも伸びたのですよね。オンラインでの買物行動についても話したいと思います。

(10/16追記:スイスでの新型コロナウィルス感染拡大が報道されているので、次回は臨時にその話を伺うことにしました。)

【対談第5回】「衛生措置最強化。ジュネーヴの今」に続く

上月 美穂(Miho Kozuki) プロフィール: ジュネーヴ在住10年目。スイス国立ザンクトガレン大学院在籍の傍ら、様々なビジネス案件に従事。ディズニー、スターバックス、イケアやビジネスコンサルティング会社で10年以上の経験。専門分野:マーケティング(市場調査、コミュニケーション、ブランドマネジメント)、新規事業開発、組織行動論/心理学。慶應義塾大学大学院修了(修士号)。LinkedIn

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