対談:消費の現場で何が起きている?~欧州との比較の視点から~
福徳社 小泉 真理 (@東京都八王子市):先が見えない時こそ消費の現場をよく観察しよう、ということで、リテールビジネスに詳しい海外在住の友人と、ビデオ会議をつないで、リアルタイムな情報交換を始めてみたいと思います。
対談のお相手は、スイス在住の上月美穂さんです。私とは、スターバックスとイケアのマーケティングチームで一緒にお仕事して以来、長年の仕事仲間です。
上月 美穂 (@スイス・ジュネーヴ):お久しぶりです。早いもので、こちらに移って10年目突入です。
小泉:スイス国立の大学院に在籍しながら、ビジネス案件も様々こなしながら、お子さんを育てながら…のロックダウン、大変じゃなかったですか?
上月:食事の準備がとにかく大変でした。スイスでは、店舗の営業制限に加えて、店舗内は10平方メートルに1人までしか入れないという入店規制がかかり、店の前に並ぶのも嫌なので、買いだめしないとまわらなかったり。
小泉:私のまわりでも、みんな家にいるから、3食作ってると1日終わっちゃう、みたいなこと言ってるママ、多かったです。
上月:最近やっと職場に出勤できるようになってきて、学校も始まって。以前のペースが戻ってきたような気がします。
小泉:日本も突然学校が休校になったり、子育て世代は大変な思いをしました。でも悪いことばかりではないです。一気にビデオ会議が普及して、仕事や学習の効率が上がった面もあります。うちの子達も、Microsoft Teamsで学校に連絡や宿題提出ができるようになりました。
上月:日本の公立小中学校でですか?なんか信じられないですね。こちらも、様々な学校がオンライン対応になったのですが、公立の学校はまだまだ難しいようです。日本はすごいですね。
小泉:必要な家庭には八王子市からWiFiルーターの貸し出しがあったり、行政の対応も迅速で、手厚かったです。子どもたちも先生方も、私が見る限り大きな混乱はなかったように思います。現場の適応力、すごいなあと思いました。
やればできる、ということなんですよね。コロナ後の世の中は激変したと言われますが、もともと変えるべきだと多くの人が思っていたことが、背中を押されて一気に実現しているだけなのでは?と思うことも多々あります。
上月:日本人も保守的な面がありますが、スイス人も負けず劣らず保守的なんです。ムラ単位で古き良き時代から変わらないようなものがいっぱいあります。「スイスが変われば世界中どこでもできる」と言っている方々もいます。
それでも、コロナをきっかけに、日常生活や働き方などで、変化を強いられていることがたくさんあります。
小泉:一方で、コロナ前後で変わらないこともきっとあるはずですよね。状況が流動的な中、その見極めが大事だなと、日々のお仕事の会話の中で、最近いつも考えています。
身近なことにいろいろなヒントがあると思うので、そちらとこちらで、一緒に考えてまいりましょう。
【対談第2回】「コロナで変わった?日常生活」に続く
上月 美穂(Miho Kozuki) プロフィール: ジュネーヴ在住10年目。スイス国立ザンクトガレン大学院在籍の傍ら、様々なビジネス案件に従事。ディズニー、スターバックス、イケアやビジネスコンサルティング会社で10年以上の経験。専門分野:マーケティング(市場調査、コミュニケーション、ブランドマネジメント)、新規事業開発、組織行動論/心理学。慶應義塾大学大学院修了(修士号)。LinkedIn