2025年5月に代官山に1号店をオープンした、アメリカ・ロサンゼルス発のドーナツチェーン「ランディーズドーナツ(Randy’s Donuts)」。いつ見てもショーケース前には真剣にドーナツを選ぶ人が絶えない人気店です。日本上陸から1周年を迎え、現在、都心の主要ターミナル駅を中心に快進撃を続けています。
多数企業の出店の歴史に基づく弊社の研究では、「チェーン店展開の初期段階、特に『1店舗目から5店舗目』をどこに出すかが、その後のブランドの成否を決定づける」と分析しています。初期の出店でエリアを分散させたり、妥協した立地を選んでしまうと、物流やマネジメントが非効率になるだけでなく、ブランドイメージが定まらず失速してしまうからです。
この「初期5店舗の鉄則」に照らし合わせると、ランディーズドーナツのここまでの初期出店は、日本市場でのポテンシャルを最大化し、長期的に定着するブランドとなりうるか?という観点での「勝ち」パターンを歩んでいることが分かります。今回は、店舗開発の視点からその裏側を読み解きます。
1. 「初期5店舗」の陣立ては、ほぼ山手線内への高密度集中
ランディーズドーナツがこの1年間で展開した初期店舗(6号店まで)を見てみましょう。
- 代官山店(1号店・旗艦店・製造拠点)
- 新宿イートルミネ店(2号店・JR改札内)
- 東京ギフトパレット店(3号店・FC/東京駅八重洲口)
- 有楽町マルイ店(4号店・FC/イトシア1F)
- 池袋西口店(5号店)
- アトレ目黒店(6号店・準備中)
注目すべきは、初期の5〜6店舗をすべて山手線内、あるいは主要ターミナル駅の動線上に集中させている点です。
「5店舗目まで」は、一般消費者やデベロッパーに対する「ブランドの自己紹介」の期間です。ここでルミネやマルイ、東京駅といった高感度かつ圧倒的な通行量のある場所を厳選したことで、「勢いのある特別なブランド」というイメージを定着させることに成功したと評価できます。
2. 過去の失敗事例から学ぶ「広域展開の罠」
「初期は一極集中させる」ことの徹底が、実務ではいかに難しく、されど重要であるか。過去に日本市場で苦戦した外資系ドーナツチェーンの教訓と比較すると一目瞭然です。
- カムデンズ・ブルースタードーナツの事例: 2015年に上陸しましたが、東京にわずか数店舗を出した段階(初期段階)で、いきなり大阪へ進出しました。東京での認知が固まりきる前の広域展開でした。結果としての売上不振や非効率が、早期撤退の要因となったと考えられます。
詳細(過去記事)やってしまった出店【1】『カムデンズ ブルー スター ドーナツ』 - クリスピー・クリーム・ドーナツの事例: 2006年に新宿(1号店)、有楽町(2号店)と大行列を作ったものの、ブランドイメージを決定づける「3号店目」で埼玉県の大型ショッピングセンターへ出店しました。「特別感」が醸成されきる前の早期の郊外展開は、売上不振の結果となり、希少性を薄れさせ、その後の成長スピードを鈍化させる一因となったと評価できます。
「話題になったから」とすぐに地方や郊外からの誘致に飛びつくのではなく、初期5店舗を「都心の一等地」で固め切ったランディーズドーナツの判断は、歴史の教訓を活かした初期出店と言えます。
結論:初期段階を制する者が、多店舗展開を制す
「立地を厳選し、まずは初期5店舗で首都圏に強固なブランドの基盤を築く」。
チェーン店展開の王道を守って店舗網を広げているランディーズドーナツ。3年間で50店舗という目標、またその後の展開に向けて、この「初期段階」を足がかりに今後どのようなエリア展開を見せるのか、期待がもてますし、今後も目が離せません。
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