忙しさにかまけて遅れてしまいましたが、株式会社創拓社出版の倒産情報についてです。前回掲載した「株式会社創拓社出版」のケースをどう読むべきかをお話したいと思います。

同社は個別指導塾、家庭教師派遣を生業としています。

塾業界は迂闊に広域展開するとよろしくないことを以前お話しましたが、そうした観点でこの情報を読むと・・・

当社は、1983年(昭和58年)12月に設立、99年2月に現商号となった。個別指導塾の運営、家庭教師派遣および教材販売、一般書籍の出版などを行っていた。小・中・高校生を対象とした「個別指導塾まつがく」を主力事業とし、全国に83教室(長野県34、北海道9、青森県3、岩手県9、新潟県15、埼玉県8、群馬県1、富山県1、福岡県3)を展開、生徒数は一時4000名程度に達していた。また、関西、九州に展開する「家庭教師のスタート」、関東圏を中心とする「家庭教師のオリオン」の屋号で、家庭教師派遣事業も手がけ、2016年3月期には年収入高約22億7200万円を計上していた。

とあります。83教室にしては展開地域が広すぎます。また、展開先で地元の競合と闘うには相当数の教室が必要ですが、追加“出店”が行われていない地域も目立ち、非効率な店舗網を形成しているのが分かります。その結果・・・

しかし、昨年4月にアールビバン(株)(ジャスダック上場)が同社の子会社において、当社に対する営業貸付金4億2000万円が取立遅延・取立不能のおそれが生じたことを発表。人件費負担や拠点維持費用などが重荷となり、余裕のない資金状況が表面化するなかで、取引先に対する支払遅延も散発。この間、不採算教室の閉鎖や関係会社への事業移管、放課後等デイサービス児童発達支援といった新規事業への参入などで立て直しに努めていたが、業況は改善せず、今回の措置となった。

とのことです。拠点維持費用が重荷になる中、多角化も進めており非常にリスキーな経営だったことがうかがえます。不採算教室の閉鎖をどのように行っていたかは不明ですが、不採算店閉鎖も闇雲に行うと店舗網が更に非効率になることがあります。

こうした倒産情報を後から評論することで終わらせる気はありません。

店鋪網をどう拡大するべきか?非効率となった店舗網をどう改善するべきか?といった課題を考えるためのツールを弊社セミナー「店舗開発という仕事 上級編」では取り扱っています。続きはそちらで詳しくお話させていただきます。