先日、友人の案内で相模原市にある“武蔵野うどん”というジャンルのうどん屋さんに行く機会がありました。JR横浜線の橋本駅と相模原駅の間の周囲に工場が多い地域にある民家の一階を改装した質素な店舗で、知っていなければ分からないような立地なのですが、自家製麺の太麺で食べ応えがあり、常連さんで混雑していました。

さて、このうどん屋さんは何屋さんか?という話です。

普通はうどん屋さんだから飲食店と思われるでしょう。もちろんサービス業としての飲食店の側面はあります。しかし、それだけではありませんでした。うどんを店内で食べた後に生のうどんも買って帰る人や生のうどんを買うだけの人もおり、小売業としての機能も併せ持っているのです。これはその店の立地や店内の造りからの想像ですが、恐らくもともとは製麺工場で、周囲の人が直接買いに来るようになり、更にそこで調理して提供する飲食業も行うようになったのではないか、と思われました。言い換えると、製造業→小売業→サービス業という順に“稼ぎ口”を増やしていったと見ることができます。

その想像が正しいとすると、飲食店ではないと思っていた店舗が、ある日飲食店としても機能するようになった、といった具合に、これまでは異業種で全然関係ないと思っていた店舗が直接の競合になりえるということです。こう考えると、周囲にはそのような例が散見されるように思われます。競合分析では“見えざる競合”という視点も含める必要があるということです。

さて、関連して、北海道の北広島市では、“卸売業者”の施設が“小売業”も併設する試みがあります。
明日、北海道産地直送センターが、北広島市に初の直売所『産直市場』を開業するそうです(記事はこちら)。北海道の新鮮な食材が一か所で買えて、地方配送もしてくれます。
ここも、もともとは大都市圏の飲食店等へ卸す物流センターだったところに、周囲の人が直接買いに来るようになり、直売所を併設することになったそうです。

北広島市は、札幌と新千歳空港の中間に位置しており、車で寄るのに便利なところです。出張や旅行で北海道に行かれることがありましたら、ついでに現地調査に行かれてみてはいかがでしょうか。