今回の調査レポートで「マニアブランド」に分類されたのは、首都圏での認知度が10.2%~32.0%とまだ4割に満たない『ブルーボトルコーヒー』『ギャレット ポップコーン ショップス』『クア・アイナ』『タコベル』『シェイク シャック』『コーヒービーン&ティーリーフ』『カールスジュニア』『パイフェイス』の8ブランドでした。

前回の続き)リテールブランド浸透度調査のデータで、調査対象ブランドのMPFS分類をしてみました。

MPFSモデル

定番化するリテールブランドの成長の初期段階である「マニアブランド」とは、成長の初期段階から、絶対数はそれほど多くなくとも、一定数以上のファンがついている状態を作れているブランドです。

リテールブランドの日本一号店に行列する人々は、そのブランドをかなり早い時期から知っている、あるいは、海外で利用したことがあるなどの特殊な経験を経ている人々であり、マニアックなファンであるといえます。

マニアックなファンの多くは、遠方からでもわざわざ来店し、長時間待つこともいとわず、客単価が高く、口コミやソーシャルメディアでの情報拡散にも積極的で、ブランドの立ち上げに貢献します。酷な言い方になるかもしれませんが、初期段階からこうしたファンがついていないブランドが定番化することはまずありません。リテールブランドの成長にとって、新規出店以外の初期のファン獲得努力は重要です。

さて、今回の調査結果を受け、こうしたマニアックなファンは一定数以上ついているものの、まだ「人気ブランド」のステージに達していない「マニアブランド」に分類されたのは、(1)ブルーボトルコーヒー(2)ギャレット ポップコーン ショップス(3)クア・アイナ(4)タコベル(5)シェイク シャック(6)コーヒービーン&ティーリーフ(7)カールスジュニア(8)パイフェイス、の8ブランドでした。首都圏での認知度は、32.0%~10.2%と4割未満にとどまりました。

「マニアブランド」の利用経験率は、17.5%~5.5%と、2割未満にとどまりました。

ブランド認知度と利用経験率は、一方だけが高まることはなく、互いに高めあう関係にあります。一時的な話題性によりブランド認知度が高まっても、出店により消費者の利用経験率をも同時に高めていかなければ、M→P→F→Sの階段を上がっていくことはできません。

そこで、ブランド認知度と利用経験率の関係を見ると、ブランド認知度の高さに即応した利用経験率が獲得できていないブランドは、「マニアブランド」に多く出現しました。特に、『ブルーボトルコーヒー』『シェイク シャック』『ギャレット ポップコーン ショップス』『タコベル』『カールスジュニア』の各ブランドは、“ブランドを知っている人のうち店舗を利用したことのない人”の割合が73.2%~58.5%と調査対象ブランド平均を上回り、出店が足りないことによる機会損失が推定されます。今後積極的に出店することにより、次のステージへ行けるポテンシャルが高いブランドと捉えることもできるでしょう。

以上、調査対象ブランドのMPFS分析結果のご報告でした。